こちらは↓の話の続編です。
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桜の花が散り始めた頃、ドールはやってきた。
綺麗な薄い布に幾重にも幾重にも包まれて。
「お邪魔します」
大切に抱きかかえて、松浦は奥まで通されるとドールをそっと床に降ろす。
オレがお願いして、五十嵐さんにも同席してもらった。
こんな高価なもののやり取りを2人きりでするのは危険な気がしたので、
第3者に居てもらいたかった。
ドール店の店主、五十嵐さんならこれ以上の適任はない。
「驚く早さですね」
五十嵐の言葉に、松浦は少し照れたように低い声を出した。
「もう一体、あります」
「え?」
「・・・どういうことですか・・・?」
五十嵐と克哉が、予想外の言葉に面食らっていると、松浦は立ち上がり
アパートの下に路駐した車からもう一体を抱いて戻ってくる。
先程のドールの横に並べると、静かに正座してぴしっと背筋を伸ばした。
「タイプの違うものを2体、作りました。選んで頂きたい」
繊細な手つきで、包装が解かれていく。
花びらが開くように、中心に向かって濃くなるサーモンピンクの布地。
その中に、金色の長い髪をした男性が・・・ほんのり微笑んでこちらを見上げていた。
(・・・っ!)
柔らかい印象なのに、どこかぞっとするような美しさに、息を呑む。
この間五十嵐さんのお店で見たドールの時のような波。
「凄い・・・。松浦さん、凄いです・・・」
(駆け出しなんて、本当なのか?こんな・・・美しい・・・)

克哉が何度も瞬きしながら、長い髪のドールを眺めている間に
もうひとつの包みに指がかけられた。
新緑のような淡い黄緑色の布地が一枚一枚開かれ・・・
ひょん、とオレンジの髪色が目に飛び込む。
首を伸ばして覗き込むと、
明るい茶色の目にキョロっと覗き込み返された・・・・・気がした・・・。
(う、動いた!?)
・・・そんな訳は無いのだが、目が合ったような、捉えられたような。
少し後ずさったものの、気になりもう一度覗き込む。
可愛い感じ・・・?っていうか・・・凄く・・・
底なしに、明るい感じ・・・。
その微笑みは、妖しい美しさを放つ隣のドールとは対照的に
昼間の太陽そのものに見えた。
「如何ですか?もちろん、どちらも気に入らない、という選択肢もあります。
遠慮しないで仰ってください」
「はぁ・・・」
ドールに見入り、松浦さんの言葉の意味を噛み砕けないままに、
ぼんやりと生返事を返すと
隣で五十嵐さんが クスっと笑った。
えっと・・・。
「もう、決まってるんじゃありませんか?」
「え?」
聞き返すと、ニッコリ微笑まれる。
「インスピレーション。第一印象が大切です」
そう・・か・・・。オレの反応を見て、五十嵐さんは気が付いてたんだ。
「はい」
「ではこちらは仕舞いましょうか」
「え?」
松浦さんがピンクの布に手を掛けて、人形を包み始める。
金色の細い毛が、空気に押されふわっと動いた。
「ええ?」
まだ何も言ってないのに。
「どうして・・・わかるんですか?」
「気を悪くなさらないで下さい。俺の勘ですが、初めて見た時の頬の緩みです」
「頬・・・?」
松浦さんのピシッと通った声からは似つかない単語。緩みか・・・。
「ドールは安らぎですから。
美しさに魅了されても、それを乗りこなせないのであれば
相手に飲み込まれます」
「それは、具体的にどういう・・・」
「夢から醒めるのが嫌に・・・」
言いかけて松浦はハっとした。
「大切なお話が・・・まだですね」
隣で五十嵐さんが、少し下を向いたような気がした。
「はぁ・・・っ!はぁっ・・・・」
夢の中で、オレは走っている。
どこまで走っても、前も後ろも真っ白で何も無い。
でも、何か居る。怖い。・・・怖い・・・怖い怖い・・・
(助けて・・・!)
シャツが汗でグズグズだ。
足許がおぼつかず、バランスを崩してみっともなく
手を大きく振り回した。
ロスをした。掴まるかもしれない。誰か分からない。誰かに。
なのに、
助かりたいと願いながら、掴まりたいとどこかで思っている。
掴まって、ボロボロにされたら・・・それが罰になる・・・?
そうしたらオレは・・・救・・・われ・・・
「そんな事、考えないで」
(え・・・?)
走って後ろに振り上げた腕。
手首の辺りを、グイと掴まれて振り返った。
オレンジ色の髪が、ふわんと揺れる。
キラキラの目。でも今はそのキラキラを少し曇らせて、俺の手を掴んでいた。
「誰も貴方を追いかけてなんか居ないよ。・・・俺以外は。」
後ろを見ると、確かに誰も追いかけてなんてこなかった。
居るのは、俺とドール。それだけ。
「あ・・・あの・・・・」
「座って」
あんなに走っていたのに、もう息も上がっていないオレは、
どこかもわからない場所に腰を降ろした。
お尻が着地したのとほぼ同時に
(う・・・ん?)
ぎゅっと抱きつかれ、頬が触れる。
(・・・あ・・・)
頬の温かさと肌の香り。
本当に、本当にドールが・・・
昼間聞いた松浦さんの話は本当だったんだ。
「夢に出てきて、話が出来ます。人のように、・・・いいえ、人そのものです」背筋がぞわっとした。
ああ、あれは・・・夢であって夢じゃない・・・
最悪・・・。最悪だ・・・。
「泣かない・・・・。ね?」
泣いてる?
ああ、オレ泣いてたんだ。気が付かなかった。
ドールの彼は、両手を使ってオレの手をぎゅっと包む。
暖かいと人はなぜ余計に泣けるのだろう。
泣かないでといわれると、子供が余計に泣くのは何でだっけ。
前にテレビで見たのに、思い出せない。
「ああ〜仕方が無いなあ・・・」
にっこり笑うと優しくお許しが出る
「うん・・・。いいよ。泣いても♪」
「あ、ありが・・・と・・・・・・・」
泣いてもいいって言われると・・・やっぱり泣ける・・・理由・・・
それはテレビでやって・・・いなかったな・・・

泣いてばかりの出会いでゴメン。
きちんとご挨拶して、自己紹介して、好きな食べ物とか、色とか、歌とか、
一杯教えあって。
話ができるなら、これからの長い付き合いを思えばそのくらいしたいのに。
そんなの全然出来なくて・・・ごめんなさい・・・。
喉が不定期にぐっと詰まり、とても喋れる感じがしない。
「ドールはね、自分の意思で夢に出て来るんだよ。
だから、あの人のドールは本当に嫌だったら、出て来なければそれで済んだんだ」
「え・・・。ほん・・・と・・・?」
ドールはこくんと頷いた。
「両方からドアを開かないと、逢えない・・・。貴方だけ相手に逢いたくても
相手も逢いたいって思ってくれないと、逢えないんだよ・・・?」
組み合わせて握った手。親指がそっと動いて、慰めるようにオレの指をなぞる。
「だから、貴方が一方的に悪い事じゃない。
そりゃちょっと暴走しちゃってるけどさ、お互いの意思がちゃんとあった。
そういうこと」
「うん・・・」
あれ・・・?
「何・・・で全部・・・知って・・・るの?」
痙攣するような気道を力で必死にねじ伏せて、途切れ途切れ話をした。
「細かい事、気にしな〜い」
指を両手で握ったまま、ぺろんとなめられる。
「俺っすっごい・・・貴方に興味ある・・・」
「ひぁ・・・」
ちゅぷ・・・・ じゅぷ・・・
「貴方に、逢いたかった」
(ええ・・・?)
指の股に舌が伸び、そっとなぞられると、折りたたんだ身体の
中心に熱が堪る。
「ん・・・。く・・・ぅっ・・・。ふぁ・・・」
情けない声が、荒い息と一緒に漏れてしまう。
親指と人差し指の間。 人差し指と中指の間。中指と薬指の・・・。
「あ・・・あぁっ・・・。」
つんと尖った上唇の中心辺りから、赤い舌が蠢いて、見えたり隠れたりしている。
「あ・・・の・・・。君・・・」
克哉の下着の中では、脈を打つ肉が膨らみ始めている。
上目でちらりと見られて、そのまま視線を外さずに指をヌルヌルした口内に
吸い込こまれて・・・。一瞬で毛細血管まで血が巡って行く気がした。
「あぁ!ダメ・・・だよ・・・。」
ちゅ・・・っぽん・・・。
「
うあぁ・・・。はぁ・・・ぁ・・・。」
最後にやや強く吸うと、勢いをつけて口からそれを離す。
「そうだね。ダメだ」
にやりと笑って、手は又握られた。
「まだ会ったばかりだし、続きはまた今度〜♪」
「う・・・ん・・・」
身体は全く「今度」ではないのだけど、
・・・そんな事は、さすがに言えない。
「そ、そんなに・・・なんでくっつくの・・・?」
服越しに伝わる体温と、人の感触が絶え間なく押し付けられて、
これじゃ・・・困る・・・。
「えー?だって・・・なんか気持ちがいいし・・・。
克哉さんが、好・き・だ・か・ら。 あ、克哉さんって呼んでもいいよね?」
「う・・ん・・・」
益々寄って来られて、これでは引くものも引かない。
何か気をそらそうと、思いつきでとりあえず喋る。
「あ、さっきの・・・どこまで知ってるの?オレの話・・・」
巻きつく腕や、触れ合う頬に妙な緊張感を抱きながら、普通を装う。
「作られながらなんとなく。ずーっと、見たり聞いたりしたから」
ああ、そうか・・・。あの2人をずっと傍で見ていたんだ。
「オレが何したか知ってるのに、それでも・・・いいの?」
「うん」
あっさり返事をされて、やや面食った。
細かい事気にしないタイプなの・・・か?
「そっか・・・」
今はそれが助かる。
こんなにウジウジした自分には丁度いい具合なのかも・・・しれない。
なんだか、自分より小さいその身体が、とても頼れるように思えた。
ニコっと笑って見つめてくれるだけで、気持ちが安定していく。
最後の松浦さんの言葉。やっと素直受け取ってもいい気がしてきた
「アイツは元気です。相変わらず、バカですけど・・・」
車に乗り込む時に、一言だけ漏らして帰っていった、あれは・・・
オレに、気を使ってくれた・・・。そう受け取って、いいのかな・・・。
(あんな大きなドールをヤっちゃうってさ、どんな奴だよって思ってたら、
こーんなおとなしそうな人なんだものなあ・・・。)
好奇心旺盛な性質のドールにとっては、激しくギャップのある克哉の2面性が
何よりも魅力的に映っていた。
(まずはじっくり・・・。おとなしそうだけど、
さっきの反応からして感じやすいのは、間違いない。
散々ちょっかい出して、中途半端にお預けして・・・どうなるか・・・)
これからの計画を立てながら、思わず笑い声が漏れる。
「え・・・?何?」
「ん?・・・ふふ♪俺のご主人様が、こーんなに可愛い人で、嬉しいなあって」
「やめてくれよ。いい年した男に、可愛いって」
そういいながら、モゾモゾ落ち着かず腰を揺らす。
(まだおっきいままなのかな。ああ〜触っちゃいたいなあ・・・)
これから先は長い。
じっくり、ゆっくり、俺が調教してあげる・・・。
克哉さんは嫌かもしれないけど、色んな顔を表に引っ張り出してあげる。
もちろん、ぜーんぶ、どんな顔も愛する予感があるから、・・・だよ。
「秋紀・・・こら・・・もうイイ加減・・に・・・」
「はぁっ・・・あ・・・。な・・に?・・・そんな顔してる・・・癖・・・に・・・」
射精を制限するだけでなく、羞恥心を煽るためなのか、
根本に巻き付けられたリボンを、きゅう・・・とひっぱって
秋紀は自分よりかなり逞しい身体に、強く腰を叩き付けた。
「やめ・・・やめて・・・うぅっ!くだ・・さ・・・
あはぁっ!」
美しい少年ドールは、制服のシャツの襟元のリボンが無いだけで、
殆ど着衣の乱れはない。
ズボンの前が少々肌蹴ているくらいだろうか。
目の前に居る、親ほどの男には靴下のみ着用を許しているらしい。
手首と足首を、それぞれ革ベルトのような物で左右で纏めて、仰向けにされていた。
「何言ってるの・・・?こんなに垂らしてさ。なにこれ」
秋紀の白くつるりとした人差し指。
先端に近寄ってくる予感に、男は情けない声を出しそうになり唇を噛む。
「目を瞑るな!・・・クック・・・こっちを見て。ほらあ・・・。五十嵐さん、恥かしくないの?
僕みたいなのに弄り倒されてさ・・・。我慢できなくて、こんなに勃起させて」
ぴとっと指先が乗った。
堪えきれず、内腿がビクンビクンと痙攣していた。
「あ・・・いぃ・・・っ」
「言いなよ・・・。どうして欲しいの・・・?」
「こす・・・って・・・!」
「もっと、具 体 的 に。僕にお願いしてみな。さあ」
ドールと持ち主達の充実した夜は、それぞれの形を作って
ひっそり、2人きり。今日も続いていく。
誰にも入り込めない。
秘密の心の夢。
終わり。ああああああ!
終わった!!
最後まで読んでくださってありがとうございました〜

なんとなく、黒い攻めノマを書いてみようかなあと、それだけで始めたおまけ。
書きたい事1話で書いちゃって、後の書きたい事を探しながら書くという
実にやってはいけない方法で書きました。
苦しかった・・・。
意味不明、矛盾、自分で見つけた部分がありますw
そっと目を瞑ってください orz お願いします お願いします。
拍手のお返事
りゆらんさん。
何かへんなセリフ思いついたら、是非教えてくださいw
絵が真剣なだけにはまるとかなり酷くて笑えますよね。