ミルクティ小休止・学園編1 ←はこちら
----------夏------------------
「なんだ・・・もう食べないのか」
昼の食堂で、不意にマツウラから話しかけられた。
「あ・・・。ちょっと、食欲なくって」
大好きな肉の煮込みとポテトだったけど、
いくら噛んでも、喉が飲み込んでくれない・・・。
(はぁ・・・。)
此処に来てから、ミドウに2通の手紙を出した。
でも、返事がこない・・・。
最初の数日は、わくわくと返事を待っていた。その後は何かあったのではと心配して。
父親宛てに出した手紙には、何事も無く返事が帰って来た事で
特別変わったことも無ければ、郵便物も届いている事を知る。
理由をずっと考えている。だけど、結局答えは出ないまま。
ぐるぐると考えが巡った後は、いつも此処に辿り着く。
(僕の頑張りが足りないから・・・かな)
いいコにしてるつもりなのに。
神様は『まだ足りない』と仰るのか。
勉強だって頑張ってるし、皆とも仲良くなれるように
苦手なお喋りだって、一生懸命・・・。一生懸命やってるつもり。
なのに・・・。
(ミドウからのご褒美が無いと、頑張れなくなりそうだよ・・・)
フォークを持ったまま、目は虚ろになり体は抜け殻になる。
隣でスープをすくいながら、じっとこちらに見入るマツウラも気が付かない。
「・・・サエキ、何か困っていることでもあるのか?」
(あ・・・)
「ホンダも心配しているぞ。アイツが大袈裟なだけかと思ったが、俺も時々
サエキが魂が抜けたみたいな顔をしてるのを見ている」
「ご、ごめん・・・」
「別に謝る事は無い。何かこの学校で困ってることがあるなら、
話してみろ。俺で力に成れるなら・・・」
飲み込みかけた昼食が、ぐっと喉の奥に詰まる。
「げほっ!・・・っ!!」
「おい、大丈夫か?」
みんな、優しい。いい人なんだ。ありがたいはずなのに
今は・・・
「ごめん・・・」
優しい皆に、自分の駄目さ加減を浮き彫りにされる気がして、堪らない。
頭もいいのに、いつも回りに目を配って頼れるマツウラ。
同じ歳なのに、寮の皆の事をまとめている。
僕もこんな風になれたらいいの?
そうしたら、ミドウは・・・?
何の意味も繋がりも無いこじつけ。
混乱して絡まった思考の世界で、何処に行っても自分が自分を責める。
ミドウの近くに行きたい。でも、
こんな僕じゃ・・・・・・。
「サエキ?・・・おいっ?」
寂しさの塊が、くっと引き結んだ唇の横をポタポタ滑り落ちていく。
「あ・・・」
もう誤魔化す事も出来ないほどの量が溢れて止まらない。
「ごめ・・・。何でもない・・・。ほんと、ごめん・・・」
トレーを下げることも忘れて、立ち上がり飛び出していくしか出来なかった。
置いていかれた同級生と、すっかり冷えて表面の脂が固まった食事。
「・・・サエキ・・・?」
「おいっ!マツウラ!」
カツヤが飛び出していった後、マツウラは、掴みかからんばかりの勢いのホンダに
話しかけられた。
「アイツ、どうしたんだ!?泣いてたんじゃねえのか?」
(・・・だったら・・・?)
スッと視線が鋭くなるマツウラに気が付いていないのか、ホンダはトレーに目を落とすと
寂しそうに呟いた。
「食ってねぇな・・・。殆ど」
「ああ」
(・・・なんて眼してるんだ。そんなに心配なら・・・)
「・・・お前、食事まだなら、コレ食べたらどうだ」
「え!?カツヤの食いかけ・・・?え・・・っと・・・。あー・・・っ・・・」
「冗談だ」
「・・・・・・・・・っ!」
真っ赤になって黙り込むホンダを横目に、猛烈にイライラしてきた。
「俺が片付けておくから、心配するな。新しいの貰ってこい」
「そ、それより、何でアイツあんな泣いてたんだ?マツウラ、なに話して・・・」
ああ、・・・イライラする。
昼休みだが、誰も外には出ていなかった。
夏だというのに、今年は少しおかしい。
此処は確かに涼しい地方ではあるけれど、上着を着ていないと肌寒いほどだ。
身も心もスカスカになって、冷たい風が沁みる。
よれた足付きで進んでいたがふらりと木の根に腰を下ろした。
「う・・・っ!」
膝に顔を突っ伏して、思い切り声をあげて泣いた。
怖くて考えないようにしていた最悪の事。
想像してしまった。もう止まらない。
「ミドウ・・・」
このままの僕でもいいといってくれる、たった一人の人だと思っていたのに。
もしかしたら・・・それは僕の・・・勝手な・・・。
「カツヤ、ここに居たのか」
後ろから声をかけられて、驚いてぐしゃぐしゃな顔のまま振り向いてしまった。
「ホン・・・」
「大丈夫か?」
「ん・・・」
大丈夫なんかじゃない。でも、何て答えたらいいんだろう。
「ミドウって奴のせいなのか」
「・・・・・(聞こえてたのか)」
違うと言いたい。
でもぐっと喉が詰まって、出てくるのは声ではなく涙だった。
すぐ横に腰を下ろしたホンダの、優しく宥めるような声。
「誰なんだ。そいつ」
「・・・僕の・・・お世話係・・・兼、小さい時は、遊び相手・・・」
「最近ずっとおかしいのは、そいつの事で何かあったのか」
ミドウの事を他の人に話すのは、少し怖かった。
「僕の・・・一番信頼してる人なんだ」
ただのお世話係相手に、こんな感情を持ち合わせていること自体、おかしいと
思われるかもしれない。どこまで話してもいいか、良く分からなくって。
だからここでは、気を許し切れないのかもしれない。
「ただ逢いたくなっちゃったって訳じゃ・・・なさそうだよな」
「・・・」
ホンダ・・・。
ホンダになら、少しだけ・・・話しても大丈夫・・・かな。
笑ったりしない気がする。
「手紙の・・・返事がこないんだ」
「ミドウって奴からか」
「此処に来る前に、約束したんだ。絶対に手紙書くから、返事ちょうだいって。
ミドウは約束を破るような人間じゃない。でも・・・返事来ないんだよ・・・。」
「届いてないとか」
「一緒に出したお父様からは、返事が来てる」
「・・・うーん・・・」
思ったより単純なことではないと感じたのか、唸って黙り込む。
僕は足元の草花を一本むしると、段々と暗い世界に飲み込まれていく。
そうだよ。ホンダに言ったって・・・仕方が無いじゃ無いか・・・。
きっと、ミドウだって僕を見切って・・・。
「フフ・・・。クック・・・・」
笑いが漏れる。ホンダの視線も忘れていた。
「そうだよ・・・。僕は・・・誰からも・・・。
いらない子だったんだ。だから、ママだって僕を捨てた」
「カツヤ?」
「だけどちょっと位・・・夢を見たって良いだろう?無理して無くても、跡継ぎじゃなくても、
力を抜いた僕で居ても・・・愛してもらえるって・・・!」
「おい、落ち着いて」
「でも・・・夢じゃ嫌なんだ・・・!ミドウが・・・!僕を見て居てくれないと・・・っ!
いやあ・・・ッ嫌だぁ・・・ッ」
「カツヤ!」

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ぐいと無理やり寄せられた、暖かくて大きな手。
久し振りの感覚。まるでミドウに・・・抱き寄せてもらえたような。
無条件に身を委ねてしまう。
こんなフラフラした心には、あんまりにも心地よすぎる。
(ホン・・・ダ・・・・・)
小さく「・・・ックソ!」と呟く声が聞こえた気がした時、ホンダの顔は余りにも近くなって、
驚くよりも早く、重なった。
何秒経ったのだろう。
(えっ・・・!これって・・・キス?)
力強い手に頭を押し付けられて、少し乱暴で歯が唇にあたりはっとした。
何でキス?え?何がどうなって・・・。
(ホンダ)
声を出そうとするよりも早く、後ろから聞こえる低い声に先を越された。
「おい、ホンダ・・・。いい加減にしろ」
「うあっ!!!!!っなっ!あぁ・・・。マツウラ・・・」
(マツウラに今の・・・!見られた!?)
「それは女の子を慰めるやり方だろう。ホンダ」
「あ・・・」
「サエキ。済まないな。こいつは本当に馬鹿なんだ。許してくれ」
「え?あ、いや・・・。」
「な、なんだよ!馬鹿って!」
「馬鹿だろ。男相手にキスして慰めるっておかしいだろう」
言葉に詰まったホンダを押しのけて、マツウラは俺の手を引いて立ち上がらせた。
「混乱しすぎて、訳が解らなくなったんだろう。
悪気もないし、下心も無いから。忘れてやってくれないか」
落ち着いた声を聞いてたら、もっともな気がしてきた。
「ああ。なんとも思ってないよ・・・。僕が興奮して取り乱したから・・・。
ホンダも、マツウラも、ごめん。心配かけて」
ホンダは赤くなったまま少し下を向いていたが、それは自分のした事が
恥かしくなったからなんだろうと思っていた。
「サエキ」
「ん?」
「お前は今のままで、十分頑張ってると思うし、お前と仲良くなりたいって思ってる奴も
沢山居る。・・・もっとそのままの自分に自信を持っても良いと思うぞ」
「あ、ありが・・・と」
初めて他人に曝け出した心。
受け止めてもらえるものなんだ。こうやって。
照れてしまって、頬がカアッと熱くなってきた。
(コレが友達って言うものなのか)
「食堂には言ってあるから、今行けば温かいものを食べられるぞ。ホンダも」
「え?ホンダも?」
「食べないでサエキの後を追ったんだ。みんなお前のこと、気にしてるんだよ。
わかったか。サエキ」
「うん・・・」
手紙の事は何も解決してないけどお腹・・・空いてきた・・・。
「ホンダ、食べに行こうか」
「あ?ああ・・・」
「マツウラ、ほんとありがとう。じゃ、また午後の授業で会おう」
何か言いた気なホンダも、カツヤの後ろをついて歩いていく。
並んで消えていく後姿を見送りながら、マツウラは唇についた髪を
人差し指で払う。
その表情は、誰も見た事が無い悲しさと険しさが・・・一瞬だけ浮いて消えた。
続く
----------夏------------------
「なんだ・・・もう食べないのか」
昼の食堂で、不意にマツウラから話しかけられた。
「あ・・・。ちょっと、食欲なくって」
大好きな肉の煮込みとポテトだったけど、
いくら噛んでも、喉が飲み込んでくれない・・・。
(はぁ・・・。)
此処に来てから、ミドウに2通の手紙を出した。
でも、返事がこない・・・。
最初の数日は、わくわくと返事を待っていた。その後は何かあったのではと心配して。
父親宛てに出した手紙には、何事も無く返事が帰って来た事で
特別変わったことも無ければ、郵便物も届いている事を知る。
理由をずっと考えている。だけど、結局答えは出ないまま。
ぐるぐると考えが巡った後は、いつも此処に辿り着く。
(僕の頑張りが足りないから・・・かな)
いいコにしてるつもりなのに。
神様は『まだ足りない』と仰るのか。
勉強だって頑張ってるし、皆とも仲良くなれるように
苦手なお喋りだって、一生懸命・・・。一生懸命やってるつもり。
なのに・・・。
(ミドウからのご褒美が無いと、頑張れなくなりそうだよ・・・)
フォークを持ったまま、目は虚ろになり体は抜け殻になる。
隣でスープをすくいながら、じっとこちらに見入るマツウラも気が付かない。
「・・・サエキ、何か困っていることでもあるのか?」
(あ・・・)
「ホンダも心配しているぞ。アイツが大袈裟なだけかと思ったが、俺も時々
サエキが魂が抜けたみたいな顔をしてるのを見ている」
「ご、ごめん・・・」
「別に謝る事は無い。何かこの学校で困ってることがあるなら、
話してみろ。俺で力に成れるなら・・・」
飲み込みかけた昼食が、ぐっと喉の奥に詰まる。
「げほっ!・・・っ!!」
「おい、大丈夫か?」
みんな、優しい。いい人なんだ。ありがたいはずなのに
今は・・・
「ごめん・・・」
優しい皆に、自分の駄目さ加減を浮き彫りにされる気がして、堪らない。
頭もいいのに、いつも回りに目を配って頼れるマツウラ。
同じ歳なのに、寮の皆の事をまとめている。
僕もこんな風になれたらいいの?
そうしたら、ミドウは・・・?
何の意味も繋がりも無いこじつけ。
混乱して絡まった思考の世界で、何処に行っても自分が自分を責める。
ミドウの近くに行きたい。でも、
こんな僕じゃ・・・・・・。
「サエキ?・・・おいっ?」
寂しさの塊が、くっと引き結んだ唇の横をポタポタ滑り落ちていく。
「あ・・・」
もう誤魔化す事も出来ないほどの量が溢れて止まらない。
「ごめ・・・。何でもない・・・。ほんと、ごめん・・・」
トレーを下げることも忘れて、立ち上がり飛び出していくしか出来なかった。
置いていかれた同級生と、すっかり冷えて表面の脂が固まった食事。
「・・・サエキ・・・?」
「おいっ!マツウラ!」
カツヤが飛び出していった後、マツウラは、掴みかからんばかりの勢いのホンダに
話しかけられた。
「アイツ、どうしたんだ!?泣いてたんじゃねえのか?」
(・・・だったら・・・?)
スッと視線が鋭くなるマツウラに気が付いていないのか、ホンダはトレーに目を落とすと
寂しそうに呟いた。
「食ってねぇな・・・。殆ど」
「ああ」
(・・・なんて眼してるんだ。そんなに心配なら・・・)
「・・・お前、食事まだなら、コレ食べたらどうだ」
「え!?カツヤの食いかけ・・・?え・・・っと・・・。あー・・・っ・・・」
「冗談だ」
「・・・・・・・・・っ!」
真っ赤になって黙り込むホンダを横目に、猛烈にイライラしてきた。
「俺が片付けておくから、心配するな。新しいの貰ってこい」
「そ、それより、何でアイツあんな泣いてたんだ?マツウラ、なに話して・・・」
ああ、・・・イライラする。
昼休みだが、誰も外には出ていなかった。
夏だというのに、今年は少しおかしい。
此処は確かに涼しい地方ではあるけれど、上着を着ていないと肌寒いほどだ。
身も心もスカスカになって、冷たい風が沁みる。
よれた足付きで進んでいたがふらりと木の根に腰を下ろした。
「う・・・っ!」
膝に顔を突っ伏して、思い切り声をあげて泣いた。
怖くて考えないようにしていた最悪の事。
想像してしまった。もう止まらない。
「ミドウ・・・」
このままの僕でもいいといってくれる、たった一人の人だと思っていたのに。
もしかしたら・・・それは僕の・・・勝手な・・・。
「カツヤ、ここに居たのか」
後ろから声をかけられて、驚いてぐしゃぐしゃな顔のまま振り向いてしまった。
「ホン・・・」
「大丈夫か?」
「ん・・・」
大丈夫なんかじゃない。でも、何て答えたらいいんだろう。
「ミドウって奴のせいなのか」
「・・・・・(聞こえてたのか)」
違うと言いたい。
でもぐっと喉が詰まって、出てくるのは声ではなく涙だった。
すぐ横に腰を下ろしたホンダの、優しく宥めるような声。
「誰なんだ。そいつ」
「・・・僕の・・・お世話係・・・兼、小さい時は、遊び相手・・・」
「最近ずっとおかしいのは、そいつの事で何かあったのか」
ミドウの事を他の人に話すのは、少し怖かった。
「僕の・・・一番信頼してる人なんだ」
ただのお世話係相手に、こんな感情を持ち合わせていること自体、おかしいと
思われるかもしれない。どこまで話してもいいか、良く分からなくって。
だからここでは、気を許し切れないのかもしれない。
「ただ逢いたくなっちゃったって訳じゃ・・・なさそうだよな」
「・・・」
ホンダ・・・。
ホンダになら、少しだけ・・・話しても大丈夫・・・かな。
笑ったりしない気がする。
「手紙の・・・返事がこないんだ」
「ミドウって奴からか」
「此処に来る前に、約束したんだ。絶対に手紙書くから、返事ちょうだいって。
ミドウは約束を破るような人間じゃない。でも・・・返事来ないんだよ・・・。」
「届いてないとか」
「一緒に出したお父様からは、返事が来てる」
「・・・うーん・・・」
思ったより単純なことではないと感じたのか、唸って黙り込む。
僕は足元の草花を一本むしると、段々と暗い世界に飲み込まれていく。
そうだよ。ホンダに言ったって・・・仕方が無いじゃ無いか・・・。
きっと、ミドウだって僕を見切って・・・。
「フフ・・・。クック・・・・」
笑いが漏れる。ホンダの視線も忘れていた。
「そうだよ・・・。僕は・・・誰からも・・・。
いらない子だったんだ。だから、ママだって僕を捨てた」
「カツヤ?」
「だけどちょっと位・・・夢を見たって良いだろう?無理して無くても、跡継ぎじゃなくても、
力を抜いた僕で居ても・・・愛してもらえるって・・・!」
「おい、落ち着いて」
「でも・・・夢じゃ嫌なんだ・・・!ミドウが・・・!僕を見て居てくれないと・・・っ!
いやあ・・・ッ嫌だぁ・・・ッ」
「カツヤ!」

クリックで大きくなります
ぐいと無理やり寄せられた、暖かくて大きな手。
久し振りの感覚。まるでミドウに・・・抱き寄せてもらえたような。
無条件に身を委ねてしまう。
こんなフラフラした心には、あんまりにも心地よすぎる。
(ホン・・・ダ・・・・・)
小さく「・・・ックソ!」と呟く声が聞こえた気がした時、ホンダの顔は余りにも近くなって、
驚くよりも早く、重なった。
何秒経ったのだろう。
(えっ・・・!これって・・・キス?)
力強い手に頭を押し付けられて、少し乱暴で歯が唇にあたりはっとした。
何でキス?え?何がどうなって・・・。
(ホンダ)
声を出そうとするよりも早く、後ろから聞こえる低い声に先を越された。
「おい、ホンダ・・・。いい加減にしろ」
「うあっ!!!!!っなっ!あぁ・・・。マツウラ・・・」
(マツウラに今の・・・!見られた!?)
「それは女の子を慰めるやり方だろう。ホンダ」
「あ・・・」
「サエキ。済まないな。こいつは本当に馬鹿なんだ。許してくれ」
「え?あ、いや・・・。」
「な、なんだよ!馬鹿って!」
「馬鹿だろ。男相手にキスして慰めるっておかしいだろう」
言葉に詰まったホンダを押しのけて、マツウラは俺の手を引いて立ち上がらせた。
「混乱しすぎて、訳が解らなくなったんだろう。
悪気もないし、下心も無いから。忘れてやってくれないか」
落ち着いた声を聞いてたら、もっともな気がしてきた。
「ああ。なんとも思ってないよ・・・。僕が興奮して取り乱したから・・・。
ホンダも、マツウラも、ごめん。心配かけて」
ホンダは赤くなったまま少し下を向いていたが、それは自分のした事が
恥かしくなったからなんだろうと思っていた。
「サエキ」
「ん?」
「お前は今のままで、十分頑張ってると思うし、お前と仲良くなりたいって思ってる奴も
沢山居る。・・・もっとそのままの自分に自信を持っても良いと思うぞ」
「あ、ありが・・・と」
初めて他人に曝け出した心。
受け止めてもらえるものなんだ。こうやって。
照れてしまって、頬がカアッと熱くなってきた。
(コレが友達って言うものなのか)
「食堂には言ってあるから、今行けば温かいものを食べられるぞ。ホンダも」
「え?ホンダも?」
「食べないでサエキの後を追ったんだ。みんなお前のこと、気にしてるんだよ。
わかったか。サエキ」
「うん・・・」
手紙の事は何も解決してないけどお腹・・・空いてきた・・・。
「ホンダ、食べに行こうか」
「あ?ああ・・・」
「マツウラ、ほんとありがとう。じゃ、また午後の授業で会おう」
何か言いた気なホンダも、カツヤの後ろをついて歩いていく。
並んで消えていく後姿を見送りながら、マツウラは唇についた髪を
人差し指で払う。
その表情は、誰も見た事が無い悲しさと険しさが・・・一瞬だけ浮いて消えた。
続く












なんて言ってたら、貸して頂ける事に!


